さみしい人
病室にいても お金の話か 退院したらどうするとか
返事に困り ただうなづくだけの私
ガンに侵された身体の痛みは
モルヒネのおかげで 感じないようで
私はその頃 昼と夜と仕事をしていたので
あまり病院には行ってなかったけど
それにしても 誰もお見舞いにこない
友達もいないさみしい人
実の母親ですら 会いにこない
足が悪いので 「迎えに行きましょうか？」と 何度か聞いてみたけど
「行かない」とだけ
実の母親とは 40歳を過ぎてから 一緒に暮らし始め
それまで物心ついたころから大人になるまで 里親に育てられたと
複雑な家庭環境だったのでしょう
旦那にはお兄さんがいますが
結婚する前に 1度だけ会いに行って でもなんかよそよそしくて
病気になったと連絡しても お見舞いの1度も来なかった
どんな人生 送ってきたんだ？
しばらく病室に行かなかった時に
仕事が忙しいのと 正直言って会いたくなかったのとで
しばらく行かなかった時に
突然 「離婚届にハンコ押すから 持ってきてくれ」
と メールがきた
「ただ 条件がある」
・・・こういうところが 嫌いなのよ
「離婚届にハンコを押しても 今まで通り面倒をみてくれること」
・・・言葉がでない
さてどうしようか
離婚届には あと旦那の名前とハンコだけでいいように仕上がってる
ハンコを押したら もう病院には行かない気がする
どうしよう・・・
この時ばかりは いろんな人に聞いた
「そんな都合のいいことばかり言う人 さっさとハンコ押してもらって もう行かなけれないい」
とか
「もう少しで死ぬんだから 遺族年金のために籍いれとけば」
とか（こちらが圧倒的に多かったけど）
でもなぜ急にそんなことを言いだしたのだろう？
ほんとに何を考えてるかわからない
やっぱり 別れたい 籍をぬきたい
離婚届を持って 病室に行きました
なぜ？
「なぜ離婚届に判を押す気になったの？」
その問いに彼は
「俺の面倒みてくれるんだろ」
同じ答え
この時 どんな返事をしたか覚えてない
ただ一刻も早く 離婚届を出しに行きたかった
それだけ
「面倒をみる」
彼の願いは 叶えてあげられそうにない
私って残酷だな 冷たい人間だなって
余命わずかな人を 見捨てたんだから
最後に行った病室のベットの上に
大好物のカップヌードルと 缶コーヒーを置いて
私はもう二度と その場に行くことはありませんでした
9月25日の体重 リンゴ酢82日目
大さじ2杯のリンゴ酢を炭酸で割り
朝と夜の食前に飲むだけのダイエットです
リンゴ酢始めた時の体重 67,8キロ
今日のニャンコ
